お年寄りへの尊厳

プライドを傷付けてはいけない

介護というのはお年寄りの身近な世話をして、快適な生活を送るサポートをする仕事です。
その際にはお年寄りの尊厳を尊重することが大切です。
お年寄りは一人の人間であり、プライドや自尊心を持って生きています。

もちろん、中にはそのような感情がほとんどなく、どのようなことをされたとしても何も感じないような人がいるかもしれません。
しかし、大部分のお年寄りはそれぞれ自尊心を持って生きているのです。
そのため、この自尊心を傷つけないように介護の仕事をすることが重要となります。

自尊心というのは、自分は自立して生きていくことができる、自分は生きる価値のある人間なんだと思うといった気持ちのことです。
その自尊心があるからこそ人間はどのような境遇に陥ったとしても、前を向いて生きていけるのです。
そして、自尊心を傷つけられるような事態になると、多くの人は怒りや悲しみ、不満などを感じます。

介護スタッフの中にはお年寄りと上手くコミュニケーションを取ることができなくて悩んでいる方は少なくありません。
その中には、本人にはまったく問題のないケースも多いのですが、実はスタッフの方で知らず知らずお年寄りの自尊心や尊厳を損ねていたという可能性もあるのです。
良質な介護サービスを提供したいならば、お年寄りの尊厳の問題から逃れることはできないでしょう。

尊厳を守るための方法

たとえば、家族の間でも介護をしていて尊厳を傷つけるようなことを知らないうちに行っているケースがあります。
介護者が相手に向かっておしっこの臭いがくさいと言ったとします。
これを聞いたお年寄りは自尊心を深く傷つけられてしまい、介護者のことを信用できなくなるでしょう。

たとえおしっこを漏らしていたとしても、そのことを頑なに認めないでしょう。
信頼関係ができているのであれば、介護者の言うことをきちんと聞きます。
相手が傷つくようなことは絶対に言わないことが大切なのです。

これは相手の立場になって考えてみることです。
自分がもし介護を受ける立場だとして、どのようなことを言われたら傷つくだろうかという視点を持ちましょう。
常にはっきりとした事実を伝えることが良いとは限らないのです。

時には遠回しな言い方をしてみたりすることも必要です。
介護施設の中にはマニュアルを配布して、具体的にどういった点に気をつければいいのかを周知しようとしているケースもあります。
そのような場合でもマニュアルにしたがうのではなくて、一度自分なりに考えてみることが大切です。

尊厳を守るということは簡単なことではありませんが、これを普段から意識していない人は、知らないうちに他人の自尊心を壊している可能性があります。
介護をする方は自尊心について常に意識しましょう。

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