認知症の方とのコミュニケーション方法

認知症の特徴的な症状

認知症の症状は人それぞれですが、一般的には中核症状とBPSDの2つに分けることができます。
中核症状とは脳細胞が認知症によって損なわれ、脳の機能が低下したためにおこる症状で、認知症の患者さんの大半に現れる典型的な症状です。
主に、物事が覚えられなかったり、覚えたことをすぐに忘れてしまうなどの記憶障害があります。
また、時間や季節、場所、人間関係などの理解力が衰える見当識障害もあります。
これによって自分の年齢がわからない、迷子になる、相手が誰かわからないなどの症状が出るのです。

また、物事を理解するのに時間がかかる、一度に2つ以上のことを考えるのが難しくなる、ちょっとした変化に対応できない、観念的な事柄と現実的な事柄をうまく関連付けられなくなる理解・判断力の障害もあります。
また、夫のお葬式や引っ越しなどちょっとした環境の変化がきっかけで、認知症の症状が現れることも少なくありません。

これに対してBPSDとは、中核症状の周辺的な症状で人それぞれ異なります。
一口でいえば、ご本人の心の表われといえる症状で、暴力を振るう人もいれば、過食する人、うつ状態になる人、幻覚や妄想が起こる人などさまざまです。

認知症のお年寄りの接し方

認知症のお年寄りは、これまでできていたことができなくなる、失敗が多くなるなど、これまでとは何かが違うと感じて、大きな不安にさらされています。
認知症になって一番困っているのは本人であり、一番悲しみ、不安に感じているのも本人であることを理解することが、何よりも肝心でと思います。
そしてこれらの不安や困惑によって現れてくるBSPDの症状は人それぞれで、心配のあまりうつ状態に陥る人もいれば、認知症であることを認めたくないあまり周りの人が自分を陥れようと企てていると妄想状態に陥る人もいます。

苦しい気持ちを理解することが大切

ご本人の悲しみ・苦しみを理解して、次のような対応を心がけましょう。
まず、その人のペースに合わせることです。
認知症になると自分のペースを乱されると、混乱してわけがわからなくなります。
早くしましょう!など急かすのは禁物です。

また、話しかけるときは正面から近づいて、ご本人の視野に入ってから声をかけてください。
後ろからいきなり声をかけると、びっくりして混乱します。
そして話すときは、1つの事柄を分かりやすく簡潔に伝えましょう。
例えば、着替えをして散歩に行きましょうねと伝えるのではなく、着替えましょうね、散歩に行きましょうねと、1つずつ区切って伝えましょう。

徘徊や妄想などなぜそうするのかわからない事柄でも、ご本人にはきちんとした理由があってそうしていることが多いです。
こちらの常識を落しつけて責めたり、叱ったりしても、事態は改善しません。
なぜ、その行動をするのかを理解することが大切です。

外へでた場合は後からついていって疲れた頃合いをみて、そろそろ帰りましょうかと声をかけましょう。
安全のために徘徊感知器を付ける、交番やご近所の人などに声をかけて協力をしてもらうなどの対策もとっておきましょう。

また、財布が盗まれたなどの妄想が起こったときは、間違っているなど否定するのはよくありません。
ご本人の話をよく聞いて、それはお困りですねといったんご本人の気持ちを受け止めることが何よりも大切です。
ここで否定されると、信じてもらえなかったと感じて信頼してもらえません。
まず受け入れた上で、いっしょに探してみましょう……、すぐに調べてみますね……など、相手の気持を考えた対応を行いましょう。

まずはご本人の気持ちの安定を図ることが大切です。
そしてできないことよりも、できることに焦点を当てた対応を心がけましょう。
たとえば、おせち料理の黒豆の作り方を教えてください、法事のお供えは何がいいでしょう?など、ご本人が得意としていることを教えてもらってはいかがでしょうか。
こうすることで、自分もまだ人の役に立てると自信を持つことができ、気持ちが安定します。